Laboratory of Landscape

村上修一研究室

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PSO LEAGUE:まちづくり惣まくり

第22回まちづくり・都市デザイン競技(公財)都市づくりパブリックデザインセンター理事長賞受賞作品
まちづくり惣まくり

岡崎藩の財政改革時に家臣団結束の礎となり,幕末の岡崎藩士の信条にもなったという,本多忠勝公の遺訓「惣まくり」。あらゆることを徹底的に行おうという,この精神を未来に向けて引き継ぎ,QURUWA社会実験や乙川リバーフロント整備などの先進的なまちづくりをさらに発展させ,市民総出のまちづくりを,中心市街地全体に行き渡らせるしくみ「PSOリーグ」を誕生させます。
PSOリーグとは?

PSOは,Public Spaces for Okazaki の略称です。PSOリーグは,岡崎市中心市街地における官民の公共空間(街路,河川,公園緑地,低未利用地)を活用してまちづくりに取り組む団体が,チームとして加盟する組織です。このリーグの理念を,「チームのメンバー自らが楽しみながら活動することで,居心地の良い,楽しくて歩きたくなる,美しいまちにすること」とします。
本地区への提案

このリーグの拠点を,岡崎城のお膝元である本地区に形成します。

具体的には,太陽の城跡地に計画中のコンベンション施設に,リーグの本部(事務室,会議室,展示室)を置くことを想定します。また,本部の東側(東岡崎駅~桜城橋エリア)と西側(岡崎公園~八丁味噌蔵エリア)を,リーグの重点エリアとして,既存チームの支援や,新規チームの立ち上げといった支援を行います。

各チームの活動する公共空間がゆるやかに増えていくようにすることで,居心地がよく,歩いて楽しく,美しいまちにすることを提案します。

今後,IoT先端技術によるスマートシティ化が進み,各チームは,まちの状況や他チームの活動を,リアルタイムで把握できるようになるため,異次元の協働(協創)が可能となります。
本地区がリーグの拠点としてふさわしい理由

まちづくりに活きる土地の力

PSOリーグの概要

チームは,「居心地の良い,楽しくて歩きたくなる,美しいまちに すること」をモットーに,自ら楽しみながら活動を行います。

チームの活動は,PSOガイドという第三者機関によって,複数の項目で評価され,チームにポイントが加算されます。

ポイントに応じたチームメンバーへの地域通貨発行,専門家の助言,必要な空間の公費による整備など,各種インセンティブにより,チームの結成やリーグへの参加を促します。

他チームとの「競争」ではなく「協創」を重視するため,ポイントによるランキングは行いません。

地縁型チームとテーマ型チームの連携を促進します。

Good Public Spaces for Okazaki(GpsO)というメディアタイトルで,リーグや各チームに関する情報を発信します。
PSOリーグの運営体制

PSOガイド 3つの役割(GUIDE)

1. 評価:チームの活動を複数項目で評価します

評価項目の例:
<共通項目>
にぎわい(活動エリアの来訪者数やwi-fi接続数)
好感度(ネットでの人気投票やアンケート調査)
住環境への貢献度(活動エリアの住民意識調査)
美しさ(調査員による活動エリアの景観評価)
協創性(活動参加人数や他チームとの協働実績)

<部門別>
歴史文化の継承性,生物多様性,健康福祉への貢献度,防災対策,担い手の育成,など



2. 導き:チームの活動と市の政策との整合性を保つため,チームの代表者や市の担当者等と意思疎通を行い,チームや市への助言,評価項目の見直し等を行います。

3. プロモーション:GpsOというタイトルで注目チームをサイトで紹介するなどの情報発信,活動を体験するガイドツアーや,チーム間交流を促進するフォーラムを行います。
PSOリーグの持続のために

PSOリーグの歩みと活動の広がり

既存のまちづくり団体をチームとしてPSOリーグを発足させます。PSOガイドによる3つの導きに加えて,各種インセンティブ,サポーター制度,企業とのパートナーシップ提携,リーグ自主事業の実施,下部組織の整備等をとおして,チーム数と活動エリアを増やします。チームの独立採算とリーグの株式会社化を目指します。

新たな地域内雇用の場の創出につながり,AIによる産業構造の大転換への対応が可能です。


チームの活動の広がり
チームの活動を支える空間の整備

PSOガイドがチームのニーズやまちの課題を分析し,必要な空間基盤整備を優先順位付けして市に助言,市(県)は予算の範囲内で順次整備を行います。チーム数が増え活動エリアが広がるほど,民間による公共空間の維持管理がなされ,削減された費用を新たな空間の整備に充てることができます。

PSOリーグ重点プロジェクト「SHIROMI」

岡崎城天守の眺望景観の維持向上

岡崎城は,川沿いの段丘上に築かれた立地条件ゆえ,ゆったりと流れる川面の奥,生い茂る常緑の森の間から,天守と石垣が顔をのぞかせる,という全国でも珍しい特徴的な景観を有します。

視点場である殿橋のたもとに本部を置くPSOリーグは,重点プロジェクトとして,この眺望景観を未来世代に継承すべく,維持向上に取り組みます。

下図のように,川面,低水路護岸,高水敷,堤防,河畔林,常緑樹林,石垣,天守,背景の空,周囲の建物,人という要素により,この景観は構成されています。

これらの構成要素と,殿橋および乙川南岸の城見通りにおける視点場(見方も含めて)に対して,PSOリーグの各チームが,日頃の活動をとおして得たノウハウを総動員し,維持向上に取り組みます。



PSOリーグの各チームによる景観構成要素の維持向上

この景観に今後影響を与える建築物等の高さ,配置,形状,色彩,広告物を規制する岡崎城眺望景観保全エリアの設定を前提に未来へ確実に引き継いでいくために,市内で活躍する下記のチームが,得意とする分野の景観構成要素の維持向上に取り組みます。催事による収益をリーグがSocial Impact Bondとして積み立て,空中権買い取りや,周囲の建物等の買収(減築・解体)という,時間を要する事業にあてます。

重点エリアにおいてチームの活動が織りなす公共空間














2070年の岡崎市

年に一度のイベント「惣まくりDAY」の様子


制作チーム:井口陽介,寺山友香,西村成貴,王琪雯,井口とも,多田裕亮,中野美香,西村実穂,橋目恵里,村上修一
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