Laboratory of Landscape

村上修一研究室

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3回生ゼミ演習(2021年)

内湖を廻る七色の道-水とともにある営みの再生
私たちは水無しでは生きていけない。海や川は時に大きな脅威となるが,豊かな恵みをもたらしてくれる。先人たちは,水の猛威をいなしながら,水とともにある営みを続けてきた。しかし,近代化の過程で水とのわずらわしいつきあいが解消されるとともに,水との関わりが希薄化した。気候変動やポスト・コロナの時代,水との関わり方は,今のままでよいのだろうか。

琵琶湖の沿岸域についても同様のことが言える。佐野(2003年)が指摘するように,内湖の周辺地域では,漁労,藻取り,ヨシ刈りをはじめとする環境に寄り添った生業が営まれ,人間を含めた生態系としての水陸漸移帯に,多義的な空間が形成されていた。しかし,内湖の干拓,湖岸堤の整備,河川の改修,港湾の拡張,圃場の整備,宅地の造成といった改変や人為的な水位操作などにより,水陸漸移帯は変容し,生活様式の変化も相まって,空間の多義性が失われた。

参照:佐野静代(2003)琵琶湖岸内湖周辺地域における伝統的環境利用システムとその崩壊:地理学評論 76(1):19-43


作成:大家成葉,権藤友菜,鈴木万結,谷幸多郎,松田杏奈,村居真緒,山内祥平,山梨由貴

琵琶湖の東岸中央部に位置する西の湖は,数少ない現存内湖の中では最大の面積を誇る。2006年には西の湖を含む一帯の水郷が国の重要文化的景観に指定され,2008年にはラムサール条約にもとづき国際的に重要な湿地として認定されている。このように景観的価値や生態的価値が認められたこともあり,干拓によって消失した周辺の内湖と異なって,確かに水域や水陸漸移帯は残存する。しかし,生活様式の変化のためか,西の湖とともにある営みの様相を湖畔に見ることはまれである。

近年,近江八幡市では西の湖をまちの将来像の主役として活用しようという動きがある。その契機となったのが2010年の安土町との合併である。それまで行政界で二つに分かれていた西の湖が一つになったのだ。旧両市町の商工関係者が中心となり,八幡堀と安土城とを結ぶ廻遊路を西の湖畔に創出しようという取り組みが続けられている。2021年8月には,四者連携協定(市,滋賀県立大学,近江八幡商工会議所,安土町商工会)にもとづく「西の湖廻遊路整備推進会議」が始まり,今年度末までに西の湖廻遊路整備の基本方針を策定することとなった。

本課題では,この推進会議と関わりながら,西の湖とともにある営みと空間の多義性の再生(新生)に向けた提案の作成を行った。

提案内容へのリンク
「西の湖いいとこ行っとこあみんちゅ大作戦」
(近江八幡市ホームページで公開中)
前半 後半
指導:村上修一,轟慎一

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