Laboratory of Landscape

村上修一研究室

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進化する更新手法


作成:藤澤忍

藤澤忍さんは,パタン・ランゲージが心地良い空間を普遍化し固定化していると批判的にとらえ,デザイナーが空間を経験し即興設計を繰り返すことで得られた知を共有し,場所性を尊重する更新手法として進化させていくしくみを,自ら被験者とすることで考案した。

神奈川県全域32市町村と横浜市の18区を踏査し,合計3,220ヶ所の街路空間について,擁壁や壁といった「土台」と,植物や看板といった「付属物」による構成として記録した。さらに,それらの空間を対象に即興設計を行った(上の画像はその一部)。即興設計の傾向を分析したところ,その場を向上させることや残すための操作として,その場を強調するという「行為」と板や植物などの「付加」があることがわかった。「行為」は改善,活用,向上,保持の4種類,「付加」する要素は板,椅子,掲示板,植物,着色,鉢植え,紐,ブロック,棒の9種類が認められ,その組み合わせによる更新方法は36通りであった。

さらに藤澤さんは,2年間の修士研究で自ら構築した更新手法集を「Sokkyou's eyes」と名付け,他者と共有し,その他者が他の地域で空間体験と即興設計を実践し,更新手法集をアップデートして,さらに他者へ共有していく,というしくみを構想した(下の図)。


作成:藤澤忍

藤澤さんの試みは,Web3時代におけるデザイン手法の共有と進化のあり方を予感させる。
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藤澤忍,村上修一(2022)まちにおける場所性の更新方法と将来の伝達方法の課題:都市計画報告集20:366-370
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