Laboratory of Landscape

村上修一研究室

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堰の形態的特徴にみる親水性


左から,台形の例:川上用水堰,盤形の例:芹沢堰,段形の例:小川江筋堰



83水系276例の堰の実測調査より,9割は堰体外,8割は堰体上の親水利用が可能とわかった。親水性の高さが国内全体で共通することが明らかとなった。 ただし,可視性やアクセシビリティの相対的に低い地域が認められた。

越流観賞の前提となる堰体の眺望は制約される場合が多く,両岸と橋上の3箇所から堰体を全望できる例は1割にすぎない。河岸の地形や占用,河岸や河道内の遮蔽要素がその要因である。堰体での親水活動の前提となる立ち入りも制約される場合が多く,両岸ともに立ち入りの容易な例は1割に満たない。河岸の地形や占用,通路の有無,護岸法面の高低差,勾配,表層,河岸と堰体の間の流路がアクセシビリティを左右する。

堰体の縦断面(図)が台形の例と,盤形または段形の例との間には,親水空間としての差が認められる。前者は利用可能な範囲が天端に限られ湛水側の河水への接触は容易だが浅瀬側は難しい。後者は利用可能な範囲が湛水側から浅瀬側まで連続しており両側の河水との接触が可能である。横断方向でも,前者に比べて後者の利用可能な範囲の割合が大きい傾向にある。
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村上修一(2012)国内83水系276例の固定堰の親水利用の可能性について:ランドスケープ研究:75(5):559-564
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